2020年、夏、東京
わたしが宮近くんについて知っていることは極端に少ない。
昨年に存在を知り、年末にパフォーマンスを生で観て、年明けに情報局に入り本格的に『担当』することを決意した。
名前、年齢、所属事務所及びグループ、誕生日、血液型。もしかしたら身長も知らないかもしれない。そして顔と声。
抜群にダンスが上手で、Travis Japan以外にもいろんな形で活動していた過去があって、今はいなくなってしまったけど隣にいた人がいて、まつげが長くてかわいいひと。
そんな男の子のことが大好きになってしまって半年超。この情勢もあり現場に行くこともかなわず(まぁそもそもエンターのチケットは当たらなかったのですが……)何の楽しみもないはずだったわたしの家にも夏が来た。
Summer Paradise2020 俺担ヨシヨシ自担推し推し 緊急特別魂
「Jr.の公演名、とんでもねぇな〜!」と思っていたら近年稀に見るトンチキタイトルだったらしい。自分だけ肌馴染みが悪いのかと思った。皆さん割と同じ思いでいるようでこっそり安心した。
そして我が愛すべきTravis Japanがソロ公演をするとのことだった。びっくりした。昨今デビュー組でもソロコンなんてなかなかしていない気がするのに、Jr.で、初の配信オンリーのサマパラで、トップバッターからTravis Japanのソロコン。
何それ!?どういうこと!?平日込み1日3公演✕7!?わたしには仕事があるんですが!?
混乱のまま情報を丸飲みし、数日後に21公演全部チケットを買った。全部観られるかはわからないが、なんてったってTravis Japanのことが好きで、現場も無く、Jr.だから円盤も無い。そんな中で応援してる男の子相手に出来ることなんてお金を払うことしか無かった。まぁ結果的に平日昼公演も職場で観て無事全通を果たすのだが。
配信を待つ日々は、まさしく現場前の感覚と差異は無かった。何を歌うのか、どんなセットなのか、衣装は。なるべく自分が観るまでセトリバレは踏まないようにしたいな。そうして迎えた8月1日の朝。テレビ及び新聞で報道されたサマパラ2020のニュースで、7人1曲ずつセトリが発表された。
わたしは5年程関ジャニ∞を世界の中心にして頂点とし、2018年に逃げ出すように降りた人間だ。そんなわたしにはこの衝撃はあまりにも大きく、横っ面をぶん殴られた気持ちだった。
エイト時代から仲良くしてくれているフォロワーから次々と連絡が来る。「ちゃかちゃんがマスピ歌うって!」知っている。信じられないけど。
Masterpiece。
関ジャニ∞の元気が出るCD!!収録曲。
バチバチのダンス曲で、ツアーDVDのメイキングには振り入れ中に丸山隆平くんが奇声を上げながら逃げ出す様子が収録された。
あれを宮近くんが?歌って?踊る?脳が溶けて耳から出るかと思った。
年数からお察しの方もいらっしゃるかと思うが、わたしはわたしが出会った時の関ジャニ∞を好きになりすぎて拗らせに拗らせ亡霊のように降りた。そのため何曲も「もう二度と聴きたくない曲」がある。関ジャニ∞の楽曲を愛しているし、愛しすぎてしまったせいでもう二度と誰にも歌われずに宝箱に入れて鍵をかけて1番奥に丁寧に仕舞っておきたい曲がある。
これは単なるオタクの身勝手な思いで、実際わたしが二度と聴きたくなかった曲は既に歌い継がれていった。わたしがどれだけ大切にしたくて、封印してほしくても、当の本人がそれを望んでいなければ歌は引き継がれるし、そしてまた誰かの大切な歌になる。
こう前振りしておいて何だが、Masterpieceは純粋に嬉しかった。ダンス曲としてかっこいいこともあるし、関ジャニ∞の曲からMasterpieceを選ぶセンスが好きだ。
だから楽しみだった。本当に、心から楽しみだった。
ただ『自担のソロコン』という未知の時間を前にあまりにも自分の身体はついていかなかった。
松倉くんの公演が終わり(開幕一発目のLIFEで爆泣きし、Street bluesに度肝を抜かれた。松倉くん、どこでストブル知ったの?)まずごはんが食べられなくなった。次に眠りが浅くなった。
みんなこんなもの乗り越えてきたの?不死身?と思いソロコン済みの友人に助けを求めるも「わたしたちに出来ることは何も無い」と言われ(そりゃそうだ。わたしだってみんなに何もしてやれなかった)「とにかく何か食え」「寝ろ」と言われながら前日を過ごした。
そして迎えた8月10日。
朝から家中を掃除して過ごしたため身辺整理を疑われたが、何とか11時半にパソコンの前についた。
その時にはもう本当に何も喉を通らないし、何故か腹痛に苛まれるし、息が浅くなっているのか指先が震えていた。今思えばなんでそんなに追い込まれていたのか全くわからないが、あまりにも楽しみすぎる気持ちが何周も回って「恐怖」になっていたのかもしれない。それも意味がわからないが。
フォロワーから「眼球を瞼の上から押すと反射で心拍数が落ち着くよ!」とメチャクチャ具体的に励まされながら12時を迎えた。
ま〜〜〜〜〜〜楽しかった。
ずっと楽しかった。
ラスボスみたいに登場して歌って踊って、目隠し拘束具装備で出てきて、コンテンポラリーを踊り、しっとり歌い上げたところで何故かコントが始まり(実家に帰ってきたかと思った)何事も無かったかのようにまた踊り出し、ハットにジャケットでジャズのステップを踏み、メンバーから電話が来るという素敵な演出を交え、自分に言い聞かせるように「間違っちゃいない」と叫び、また踊りに踊って、最後に大切な歌を歌ってくれた。
宮近くんが踊ってるところを観て好きになってしまったわたしは、ステージに立っている宮近くんが特別好きだった。
宮近くんが踊る時の目が好きだった。歌ってる時に掠れる声が好きだった。伸びやかに動きビタ止まりする脚が、指先まで効いた緩急が、身体の小ささを全く感じないダンスが好きだった。
全部全部、もっと好きになった。
宮近くんの、「この音が鳴ったらこう身体が動いてしまう」と言わんばかりのダンスが好きだ。恐らくメチャクチャ難しいことをしているのに「自然にこう動いちゃうんです」って顔で踊るところが好きだ。
如恵留くんが「自分を一番表現出来るのはダンスだと知っている人」と言っていた。こういうことかと思った。
わたしの知り得ない時間に、恐らくいろんなことがあった。「いろんなこと」で片付けられないくらいのことが。
今回のセトリは、恐らくずっと宮近くんを応援していた形に寄り添ったものだったんだと思う。前述した「愛しすぎてしまったせいでもう二度と誰にも歌われずに宝箱に入れて鍵をかけて1番奥に丁寧に仕舞っておきたい曲」がたくさんあったのではないか。それはずっと宮近くんを見ていた方にとっても、宮近くんにとっても。
宮近くんは、それをわたしみたいな新参者に見せてくれたのかな、と勝手に思っている。
「こういう歌を歌ってきましたよ」「こうやって歩いて来ましたよ」そんな、自己紹介のようなセトリだった。
宮近くんは最後に「いつもありがとうと言えるのは、ぼくのいつもにみんながいるから」と、メッセージをくれた。
わたしはまだまだTravis Japanの、宮近くんの「いつも」になれるほどの時間を過ごしていない。でも「好き」の気持ちは日に日に大きくなる一方で、これ以上どう好きになればいいんだろう?という気持ちも昨日ゆうに超えてしまった。
まだ好きになれる余地が残っていたし、これからもっともっと好きになるんだと思う。
宮近くんへ。今までのことを教えてくれてありがとう。早くあなたの「いつも」になりたいです。
Travis Japanのみんなへ。最高の夏をありがとう。会いに行ける日を心から楽しみにしています。
これは余談だが、Shelterを観た友人が「本家の坂本くんより、ジャムのすばるくんより、Jr.の2列目で人殺しみたいな目をして踊っていたやすくんのShelterに一番近かった」と言われて恥ずかしさで死ぬかと思った。わたしは可愛らしい人がステージの上で人殺しみたいな顔になると好きになってしまう病気を10年患ってる。まだまだ治りそうにない。